2008年6月8日日曜日

過去問の整理(自然人)

過去問の「△」または「×」だった肢を整理しよう。
民法総則の過去問はもう何回もやっているはずなのに、まだきっちりわかっていない肢があるのは困ったものだ。
  • 未成年者に法定代理人がいない間は、これに対して消滅時効が完成することはない。(57-2-3)
○ 制限行為能力者の保護のため、時効は停止する。
「時効の期間の満了前6ヶ月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がいないときは、その未成年者もしくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6ヶ月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない(§158Ⅰ)」
→つまり、未成年者に法定代理人がついたとしても、それから6ヶ月が経つまでは消滅時効は完成しない

  • 被保佐人が相続を承認し、又はこれを放棄するには、保佐人の同意を得ることを要する。(60-1-4)
○ 重要な財産行為として§13Ⅰに列挙された行為は保佐人の同意が必要である。
①元本の領収・利用
②借財・保証
③不動産その他重要な財産の得喪
④訴訟行為
⑤贈与・和解・仲裁合意
相続承認・放棄・遺産分割
⑦贈与申込の拒絶・遺贈の放棄・負担付き贈与の承認
⑧新築・改築・増築・大修繕
⑨短期を超える賃貸借

  • 未成年者がした法律行為の取消しは、未成年者が単独ですることができる。(63-1-5)
○ 制限能力者による行為の取消権者は、§120で限定列挙されている。
制限行為能力者(本人)、(法定・任意)代理人、(包括・特定)承継人、同意をすることができる者(保佐人、補助人)
※あくまで限定列挙。「保証人」は取消権者でない

  • 未成年者Aがした売買行為について、Aが成年となった後は、未成年であったことを理由に取り消すことができない。(6-7-エ)
× 制限能力者による行為の取消は§126に短期消滅時効の規定がある。
「追認できる時から5年間、又は、行為(契約等)のときから20年間で消滅する」
→20歳で成人したときが「追認できる時」であり、そこから5年の25歳までは取り消すことができる。

  • 成年被後見人が成年後見人と利益の相反する行為をしたときは、成年後見人は、その行為を取り消すことができる。(9-1-2改)
× 成年被後見人の行為は、日常生活に関する行為を除いて取り消すことができる(§9)が、その行為が成年後見人との利益相反行為となる場合には、成年後見人に代理権が認められない。
→成年後見人はその利益相反行為を取り消すことができない。

  • 家庭裁判所は、保佐開始の審判において、保佐人の同意を得ることを要する法定の行為に関し、その一部について保佐人の同意を得ることを要しない旨を定めることができる。(15-4-ウ)
× 保佐人の同意を得ることは§13Ⅰで限定列挙しており、その一部について保佐人の同意を要しない旨を定めることはできない。いずれも重要な財産上の法律行為に関わるものであり、被保佐人の保護のためにもこのような旨を定めることは許されない。

  • 成年被後見人が契約を締結するに当たって、成年後見に関する登記記録がない旨を証する登記事項証明書を偽造して相手方に交付していた場合には、相手方がその偽造を知りつつ契約を締結したとしても、その成年後見人は、当該契約を取り消すことができない。(19-6-オ)
× 制限行為能力者が行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない(§21)。しかし、相手方が能力者だとと誤信したのでなければ、詐術に当たらず、制限行為能力者の取消権は否定されない。

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