過去問いきます。BGMは
Cymbalsの「Neat,or Cymbal!」。その後が、EveryLittleThingの「
Crispy Park」。
- Aがその所有する不動産をBに贈与した後死亡し、遺留分の権利を有するAの相続人Cが、遺留分減殺請求をした場合には、Cの遺留分減殺の登記がなされないうちに、Bが、その不動産をDに譲渡して所有権移転の登記をしたときであっても、Cは、Dに対し、遺留分減殺による所有権の取得を対抗することができる。(6-18-ウ)
× 遺留分権利者(相続人)と減殺請求後の譲受人は対抗関係。§1040Ⅰただし書きは適用されない(§177、最判昭35.7.19)。
参考:§1040Ⅰ「減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。」
- Aの相続人はB及びCであったにもかかわらず、Bが、Cも相続人であることを知りながら、自己単独名義の相続登記をした場合であっても、相続回復請求権の消滅時効(民法第884条)が完成したときは、Cからの相続登記抹消請求に対し、Bは、相続回復請求権の消滅時効を援用して対抗することができる。(6-18-エ)
× 相続回復請求権の規定(§884:「相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする」)は、相続を巡る法律関係を早期に安定化させるという短期消滅時効の趣旨が妥当するため、共同相続人相互間においても適用される(最大判昭53.12.20)。しかし、共同相続人の一人が自己の相続分を超えて相続財産を占有管理している場合に、他の共同相続人の相続権を害することに悪意又は有過失であれば、本条は適用されず、侵害排除請求に対して相続回復請求権の消滅時効を援用して対抗することはできない。(最大判昭53.12.20)。
- Aがその所有する甲土地をBに売却し、さらにBが当該土地をCとDに二重に売却した。Bが甲土地をCとDに二重に売却した後、Aが未成年を理由に売買の意思表示を取り消した場合には、Cは、その後に所有権移転登記を経由すれば、A及びDに対し、自己の所有権を対抗することができる。(10-14-オ)
× 制限行為能力を理由とする取り消しは第三者保護規定がなく、取り消し以前に所有権を取得したCはたとえ登記を得たのが取り消し後だとしても、Aに対抗できない。また、Cは無権利者となっており、Dに対しても対抗できない。なお、Aが取り消した後にCが所有権とその登記を得たならばA・C間は対抗関係となるが、しっかり区別すること。
- AとBが甲土地をAの単独所有とする遺産分割協議をした後、Bが甲土地につき勝手に単独相続の登記をした場合、これをAから買い受けたDは、Bに対し、その所有権移転登記の全部の抹消を請求することができる。(13-6-4)
○ Bによる単独相続の登記は実体関係を反映していないため無効である。相続により単独で所有権を得たBから所有権の譲渡を受けたDは完全な所有権を得ており、Bに対して所有権移転登記の全部の抹消を請求することができる。
- 自己所有の土地上に未登記建物を所有するAが当該土地に抵当権を設定し、Bが競売によって当該土地を買い受けた場合、Aは、当該建物について登記をしていない以上、当該建物の所有権をBに対抗することができず、したがって、当該建物に係る法定地上権は、成立しない。(14-6-ア)
× 土地の抵当権設定当時その土地上の建物に(保存)登記がなかった場合でも、法定地上権は成立する(大判昭14.12.19)
- Aは、その所有する甲不動産をBに譲渡した後、背信的悪意者Cに二重に譲渡して所有権移転登記をした。その後、Cは、甲不動産を背信的悪意者でないDに譲渡し、所有権移転登記をした。この場合において、Bは、Dに対し、甲不動産の所有権の取得を対抗することができる。(16-11-イ)
× 買主の代理人として行動すべき者が買主になった場合などの背信的悪意者に対しては登記がなくても対抗できる。しかし、背信的悪意者から取得した転得者は前主の背信性に影響されず、登記の欠缺を主張できる第三者に該当する。(イメージ:A→Cを「X」)
- A所有の甲不動産について、その所有者をBとする不実の登記がされている。この場合において、Aから甲不動産を譲り受けたCは、その旨の所有権移転登記をしていなくても、Bの相続人Dに対し、甲不動産の所有権の取得を対抗することができる。(16-11-エ)
○ 登記記録上、所有者として表示されているに過ぎない架空の権利者は§177の第三者に当たらない(最判昭34.2.12)。また、その包括承継人も同様である。
- 甲土地が、AからB、BからCへと順次譲渡され、それぞれその旨の所有権移転登記がされた。その後、Aは、Bの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した。この場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権の自己への復帰を対抗することができる。(17-8-イ)
× 不動産売買契約が解除される前に買主から当該不動産を譲り受けた第三者は、登記を備えている場合には保護される(最判昭58.7.5、大判大10.5.17)。この際、第三者の善意悪意は問わない。
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