2008年6月13日金曜日

過去問の復習(意思表示及び法律行為の続き)

じゃんじゃん行こう。
……と言いつつ、ここに記録することでおさらいできるものの、タイムロスも多い気がする。今後はどうしよう。
  • AがBの詐欺により、Bとの間で、A所有の甲土地を売り渡す契約を締結した。Aが詐欺の事実に気づいた後に、BがAに対し、相当の期間を定めて売買契約を追認するかどうかを確答するよう催告した場合、Aがその期間内に確答しなければ、Aは、売買契約の意思表示を取り消した者とみなされる。(10-4-ア)
× 詐欺による意思表示の相手方に催告権を与えるような規定はない。自ら詐欺を行い又は第三者の詐欺の事実を知って法律行為に入った者に、特に保護を与える必要はないから。(なお、このような催告ができるのは、制限行為能力者による意思表示の相手方である。)
  • AがBの詐欺により、Bとの間で、A所有の甲土地を売り渡す契約を締結した。Aは、詐欺の事実に気づいて売買契約の意思表示を取り消した場合において、Bへの所有権移転登記を経由していたときは、Bに対し、受領済みの代金及びこれに対する受領時以後の法定利率による利息を返還しなければならない。(10-4-オ)
× 取消権の行使により売買は訴求的に無効となるため、Aは不当利得として代金を返還する必要がある。本問ではAが代金を受領した時点で詐欺の事実につき善意であったと思われるので、現存利益を返還すればよい(§703)。
※不当利得返還義務のまとめ
・善意の受益者=現に利益の存する限度(現存利益、§703)
・悪意の受益者=その受けた利益に利息を付して返還。なお損害があるときは、その賠償の責任を負う(§704)
  • Bは、C社の従業員から甲薬品はガンの予防に抜群の効果があるとの虚偽の説明を受け、これを信じてAに同様の説明をし、Aもこれを信じて甲薬品を購入した場合、Aは、Bとの間の売買契約を取り消すことができる。(13-1-イ)
× 詐欺により取り消すためには、①相手方を欺いて錯誤に陥れようという意思②その錯誤によって意思表示させようとする意思の「二段の故意」を要する(大判大6.9.6)。本問ではBにAを欺いて錯誤に陥れようという意思がなく、BがAに対し詐欺を行ったとはいえない。
  • Aは、Bに対して貸金債権を有していたところ、AとCが通謀して、当該貸金債権をCに譲渡したかのように仮装した。異議をとどめないでその債権譲渡を承諾したBは、債権譲渡が無効であるとして、Cからの貸金債権の支払い請求を拒むことはできない。(15-5-ゥ)
× 債務者が異議をとどめないで承諾したとしても、その債権譲渡自体が無効である。また、債務者は仮装譲渡について§94Ⅱの第三者ではない。従って、Bは債権譲渡の無効を主張して支払い請求を拒むことができる。
  • 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した後は、その相続放棄をした者は、その相続放棄について、錯誤による無効を主張することはできない。(17-4-オ)
× 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した場合であっても、その相続放棄をした者は、その相続放棄について錯誤無効を主張できる。(§919Ⅱ、最判昭29.12.24)

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