2008年6月26日木曜日

過去問おさらい(物権変動総論)

物権の過去問に入ろう。BGMはThe Violin Muse~The Best of Ikuko Kawai(川井郁子)
  • 抵当権の設定の登記をした者は、その後、他人の虚偽の申請によってその登記が抹消された場合でも、その抵当権をもって第三者に対抗することができる。(60-8-2)
○ 抵当権設定登記が抵当権者不知の間に不法に抹消された場合には、抵当権者は対抗力を喪失せず、登記上利害関係のある第三者(その後新たに抵当権を取得し登記した者など)に対し自己の抵当権を対抗することができる(最判昭36.6.16)。そりゃ、これで対抗できなかったりしたらかわいそうだわな。
  • 当事者間で合意した代物弁済の目的物の所有権移転時期が経過しただけでは、代物弁済の効果は生じない。(4-10-イ)
○ 代物弁済はその意思表示をするだけでは足りず、登記その他引き渡し行為を終了し、第三者に対する対抗要件を具備したときにその効力が生ずる(最判昭39.11.26)。不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合、債務消滅の効力を生じるには、原則として、単に所有権移転の意思表示をしただけでは足りず、所有権移転登記手続きの完了を要する(最判昭40.4.30)。なお、このことは、代物弁済による所有権移転の効果が、原則として当事者間の代物弁済契約の意思表示によって生ずることを妨げるものではない(最判昭57.6.4)。
  • Aが所有する土地上に建物を建築することを請け負ったBは、自らすべての材料を提供して建物を完成させたが、Aが請負代金を支払わないので、自己名義の所有権保存登記を経由した後、この建物をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した。この場合、AからCに対して返還請求又は妨害排除請求をすることができる。(11-16-エ)
○ 請負人Bは自ら建築材料を提供しているので建物所有権を原始取得するが、もともと土地利用権限はなくせいぜい黙示の使用貸借が存するにすぎず、使用借権の譲渡に必要な貸主Aの承諾も認められないから、Cはいかなる土地使用権限も取得し得ない。したがって、Aは土地の所有権に基づき、Cに土地の返還請求ないし妨害排除請求をすることができる。
  • A所有の土地上に不法に建てられた建物の所有権を取得し、自らの意思に基づきその旨の登記をしたBは、その建物をCに譲渡したとしても、引き続きその登記名義を保有する限り、Aに対し、自己の建物所有権の喪失を主張して建物収去土地明渡しの義務を免れることはできない。(14-8-エ)
○ 物権的請求権の相手方は、原則的に現に他人の物権を侵害している者である。しかし、他人の所有地に不法に建てられた建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づきその旨の登記をした上で当該建物を譲渡した場合には、引き続きその登記名義を保有する限り、土地所有者に対し、自己の建物所有権の喪失を主張して建物収去土地明渡しの義務を免れることはできない(最判平6.2.8)。
  • 一般の先取特権を有する者は、不動産について先取特権の保存の登記をしなくても、その不動産につき未登記の抵当権を有する者に対抗することができる。(19-9-1)
○ §336「一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。」
  • 根抵当権の一部譲渡の登記は、対抗要件ではなく効力発生要件である。(19-9-5)
× 根抵当権の一部譲渡の効力発生のためには、譲渡人と譲受人の合意及び根抵当権設定者の承諾が必要である。しかし、登記は対抗要件であり、必要ない。

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