物権の過去問の復習も今回が最後。過去問集で問題を解いてから数日後にこのブログで復習しているが、「微妙」だった点がすっきりしたはずなのに相変わらず「微妙」だったりすると、「脳天気が売り」の私も少しうんざりする。忘却能力が高すぎる。「怪しい肢集」はかなりの頻度で繰り返さないと、とてもじゃないけど来年の試験日に頭に残ってないな。元来のめんどくさがりな私だが、怪しい肢についてだけはアホみたいに反復していこう。ちなみにBGMは、「
JAZZ Bar ニコニコ 3号店」と「
JAZZ Bar ニコニコ 4号店」。
- 甲がその所有するA土地につき乙との間で地上権設定契約を締結した。甲乙間に乙はA土地を他に賃貸してはならない旨の特約がある場合に、乙が甲の承諾を得ないでA土地を第三者丙に賃貸し、引渡しをしたときでも、甲は、丙に対して、A土地の明渡しを請求できない。(59-14-3)
○ 地上権者は、設定者の承諾なしに譲渡・転貸をすることができる。地上権の譲渡禁止特約や、担保権を設定しない旨の特約は、債権的には有効であるが、物権的には無効である。
- 木造家屋を所有する目的で土地を賃借する場合に、存続期間を10年と定めたときは、その定めは無効であり存続期間は30年となる。(2-17-3)
○ 借地借家§3「借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」→30年未満の期間を定めても無効であり(借地借家§9「この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。」)、存続期間を定めなかったものとして30年となる。
- 資材置場とすることを目的として土地を賃借する場合に、存続期間を30年と定めたときは、その定めは無効であり存続期間は20年となる。(2-17-4)
○ 資材置場については借地借家法による修正は適用されず、民法の原則による。
→「§604①賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。②賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
- ビルの1室を事務所として賃借した場合、存続期間を半年と定めたときはその定めは無効であり存続期間は1年とされる。(2-17-5)
× ビルの1室は、独立した建物として、借地借家法が適用される。
「借地借家§29①期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。②民法第604条 の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。 」→期間の定めのない建物賃貸借とみなされる。
- Aが「電線路及びこれを支持するための鉄塔を施設し、保持すること」を目的として、Bからその所有する甲土地について地上権の設定登記を受けていたという事例において、当該地上権が甲土地の全部を対象として設定されたものである場合には、Aは、「電線路(支持物を除く。)を施設、保持し、その架設・保守のために土地に立ち入ること」を目的とする地役権を設定することができる。(10-10-イ)
× 地上権者がその借地のために、又は、その借地の上に地役権を設定することは認められると一般に解されているが、地役権は土地のための権利であるため、本問のような地役権の設定はできない。
- 地上権者が破産手続開始の決定を受けた場合、それまで地代の滞納がなかったときでも、土地所有者は、地上権の消滅を請求することができる。(11-12-1)
× 法改正で正しい肢だったのが「×」の肢に変わったようだ。このままでの出題可能性は低いといってよさそうだが、消滅請求ができる場合については明確にしておこう。
※土地所有者(地上権設定者)が消滅請求できる場合=地上権者が引き続き2年以上地代の支払いを怠るとき(§266Ⅰ、276:永小作権の規定を準用)
- 建物の所有を目的とする土地の賃借権を有する者は、その土地の上に登記されている建物を所有するときは、その賃借権を第三者に対抗することができるが、建物の所有を目的とする地上権を有する者は、地上権の登記をしなければ、その地上権を第三者に対抗することができない。(18-13-ア)
× 前半はオッケー(借地借家§10Ⅰ「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。」)。また、建物の所有を目的とする地上権についても、借地借家法が適用される。
→借地借家§2「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
二 借地権者 借地権を有する者をいう。
三 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。
四 転借地権 建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。
五 転借地権者 転借地権を有する者をいう。 」
- A及びBは、甲土地を共有しているが、隣接する乙土地の所有者Cとの間に、甲土地の利用のために乙土地を通行する旨の地役権設定契約を締結した。この地役権設定契約に際し、地役権は要役地の所有権とともに移転しない旨の特約をした場合において、Aが甲土地に対する自己の持分をDに譲渡したときは、その特約について登記がなくても、CはDの地役権の行使を拒むことができる。(4-12-3)
× 「§281①地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。②地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。 」→281条ただし書きの通り、要役地の所有権とともに移転しない旨の特約をすることができるが、この特約は登記しなければ第三者に対抗することができない(不登§80Ⅰ③)。
※不動産登記法第80条
①承役地(民法第285条第1項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 要役地(民法第281条第1項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。)
二 地役権設定の目的及び範囲
三 民法第281条第1項ただし書若しくは第285条第1項ただし書の別段の定め又は同法第286条の定めがあるときは、その定め
②前項の登記においては、第59条第4号の規定にかかわらず、地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
③要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
④登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならない。
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