2008年7月1日火曜日

過去問(即時取得)

物権の過去問の復習はさっさと終わらせよう。BGMはCymbalsの「Neat,or Cymbal!」。
  • AはBに対し、A所有の指輪を売り渡し、占有改定による引渡しをした後、この指輪をCに売り渡し、Cに対しても占有改定による引渡しをしたところ、Dがこの指輪をA方から盗み出した。この場合において、Bは、指輪の所有権をCに対抗することができる。(62-13-1)
○ Bは占有改定による引渡しを受け、対抗力ある所有権を得ている。一方、Cは無権利者となったAから指輪を買ったのだから所有権を取得するには即時取得によるほかないが、占有改定によっては即時取得できず、所有権を取得できていない。したがって、BはCに対抗できる。
  • AはBに対し、A所有の指輪を売り渡し、占有改定による引渡しをした後、この指輪をCに売り渡し、Cに対しても占有改定による引渡しをしたところ、Dがこの指輪をA方から盗み出した。この場合において、判例の趣旨によれば、Cが指輪の所有権を取得することはない。(62-13-2)
○ Bは占有改定による引渡しを受け、対抗力ある所有権を得ている。一方、Cは無権利者となったAから指輪を買ったのだから所有権を取得するには即時取得によるほかないが、占有改定によっては即時取得できず、Cが指輪の所有権を取得することはないといえる。
  • AはBに対し、A所有の指輪を売り渡し、占有改定による引渡しをした後、この指輪をCに売り渡し、Cに対しても占有改定による引渡しをし たところ、Dがこの指輪をA方から盗み出した。この場合において、AはDに対し、指輪の返還を請求することができる。(62-13-3)
○ Aは占有回収の訴えを提起し、返還を請求することができる。
  • AはBに対し、A所有の指輪を売り渡し、占有改定による引渡しをした後、この指輪をCに売り渡し、Cに対しても占有改定による引渡しをし たところ、Dがこの指輪をA方から盗み出した。この場合において、BはDに対し、指輪の返還を請求することができる。(62-13-4)
○ Bは指輪の所有者であり、Dに対して所有権に基づく返還請求をすることができる。
  • AはBに対し、A所有の指輪を売り渡し、占有改定による引渡しをした後、この指輪をCに売り渡し、Cに対しても占有改定による引渡しをし たところ、Dがこの指輪をA方から盗み出した。この場合において、CはDに対し、指輪の返還を請求することができる。(62-13-5)
○ Cは所有権は得ていないものの、占有改定により占有権は取得しており、Dに対して占有回収の訴えを提起して指輪の返還を請求することができる。
  • AがBの無権代理人CからB所有の宝石を買い受けた場合に、Cの無権代理について善意・無過失であるときは、その宝石を即時取得することができる。(5-9-ウ)
× 前主が無権代理人である場合のように取引行為自体に瑕疵があり完全な効力を生じていない場合には、即時取得制度の適用はない。AがCの無権代理行為について善意・無過失であろうと、悪意であろうと、結論は変わらない。
  • 占有者が、占有物の上に行使する権利は、これを適法に有するものと推定されるので、即時取得を主張する者は、無過失を立証する責任を負わない。(5-9-オ)
○ 即時取得を主張する者は、平穏、公然、善意、無過失のいずれも立証する責任を負わない。平穏、公然、善意については推定規定(§186)があり、無過失についても推定されるとの判例(最判昭41.6.9、最判昭45.12.4)がある。
  • 無権利者から代物弁済によって動産の譲渡を受けた場合、代物弁済は弁済と同一の効力を生ずるものであり、取引行為ではないので、即時取得は成立しない。(13-7-エ)
× 代物弁済は、即時取得に必要な無権利者との「有効な取引」に含まれる。
※有効な取引に含まれる場合……代物弁済、譲渡担保、消費貸借、寄託、強制競売、質権設定による質権の取得、本人の代理人から買い受けた場合
  • Aの所有する甲動産を保管しているBが、甲動産を自己の所有物であると偽ってCに売却した場合において、代金支払時にCが甲動産の所有者がBであると信じ、かつ、そう信じるにつき過失がないときは、代金支払後、引渡しを受けるまでの間に、所有者がBでないことをCが知ったとしても、Cは、甲動産を即時取得することができる。(17-9-イ)
× 即時取得における善意無過失の要件は、占有開始時に要求される(§192)。
§192「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」
  • Aの所有する甲動産を買い受け、引渡しを受けたBが、債務不履行を理由にその売買契約を解除されたが、Aに甲動産の引渡しをしないまま、これをCに売却し、Cに現実の引渡しをした場合には、Cは、Bが所有者であると信じ、かつ、そう信じるにつき過失のないときに限り、甲動産の所有権を取得することができる。(17-9-オ)
× AとCの関係は、引渡しの前後によって決する。(§178:動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。)Bを起点とする二重譲渡と類似の関係だと見ることができるため。したがって、Aより先に現実の引渡しを受けているCは、Bが所有者であると過失なく信じた場合でなくても甲動産の所有権を取得することができる。

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