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2008年7月6日日曜日

平成20年度本試験の問7の復習

この悔しさを忘れるまい。
今夜は、入手したてほやほや「平成20年度本試験」の問7の復習だけはやっておこう。予備校(LEC)の速報だと、答えは「3(イエの組み合わせ)」。一方、私が選んだのは「4(イオ)」。エ、オの肢で迷って、はまってしまったようだ。気弱マークを付けたアと合わせて3肢(ア、エ、オ)をチェックしよう。

まずは、肢に入る前の問題文を見てみる。
「時効の援用権者に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合わせは、後記1から5までのうちどれか。なお、民法第423条による援用権の代位行使については考慮しないものとする。」
試験会場では、この「なお~」から後を読んで頭が真っ白になったんだよな。

(債権者代位権)
第423条
1. 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2. 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

何のことはない、債権者代位のことを言ってたんだな。出題者に機先を制されてしまった。何、冷静に見ればびびることは何もないじゃないか。
それでは、肢に行こう。
  • 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権が消滅すると先順位抵当権も消滅し、その把握する担保価値が増大するので、その被担保債権の消滅時効を援用することができる。(20-7-ア)
× §145「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」→この「当事者」は、判例で「時効によって直接利益を受ける者及びその承継人」に拡張されている。しかし、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できない(最判平11.10.21)。
「先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益に過ぎないと言うべきである。そうすると、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当するものではなく、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」
「(抵当不動産の)第三取得者は、右被担保債権が消滅すれば抵当権が消滅し、これにより所有権を全うすることができる関係にあり、右消滅時効を援用することができないとすると、抵当権が実行されることによって不動産の所有権を失うという不利益を受けることがあり得るのに対し、後順位抵当権者が先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができるとした場合に受けうる利益は、右に説示したとおりのものに過ぎず、また、右の消滅時効を援用することができないとしても、目的不動産の価格から抵当権の従前の順位に応じて弁済を受けるという後順位抵当権者の地位が害されることはないのであって、後順位抵当権者と第三取得者とは、その置かれた地位が異なるというべきである。」

※時効の援用権者まとめ
(出典:判例六法、レジュメ。①~⑥は消滅時効、⑦は取得時効)
①保証人、連帯保証人
②物上保証人
③抵当不動産の第三取得者
④売買予約の仮登記がなされている不動産の第三取得者
 →売買予約に基づく所有権移転請求権保全仮登記のされた不動産につき、所有権を取得し、その登記を経由した者は、予約完結権の消滅時効を援用できる(最判平4.3.19)。
⑤売買予約の仮登記に後れる抵当権者
 →売買予約に基づく所有権移転請求権保全仮登記の経由された不動産につき抵当権の設定を受け、その登記を経由した者は、予約完結権の消滅時効を援用することができる(最判平4.3.19)。
⑥詐害行為の受益者
 →詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、時効の利益を直接に受ける者に当たり、その消滅時効を援用することができる。(最判平10.6.22)
⑦土地の取得時効につき、土地の賃借人。

※援用権がない者
後順位担保権者は先順位担保権者の債権の消滅時効を援用できない
②土地上の建物の賃借人は、その土地の取得時効を援用できない。

平成に入ってからの判例も多い。来年以降、近年中に再びこのあたりから出題されることもあるかも。注意。
  • 詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば、詐害行為取消権の行使による利益喪失を逃れることができるので、その債権の消滅時効を援用することができる。(20-7-エ)
○ 何のことはない、上記の判例(最判平10.6.22)の通り、詐害行為の受益者は消滅時効を援用できる。
  • 建物の敷地所有権の帰属につき争いがある場合において、その敷地上の建物の賃借人は、建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得すれば賃借権の喪失を免れることができるので、建物の賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することができる。(20-7-オ)
× 上記の通り、土地の賃借人であれば土地の取得時効を援用できるが、土地上の建物の賃借人は土地の取得時効を援用することはできない。
ちなみに、肢イは「物上保証人が消滅時効を援用できる」で答えは「○」、肢ウは「一般債権者が他の債権者の債権の消滅時効を援用することができる」で答えは「×」。

反省:「ウ」以外の4肢は、レジュメでばっちり載っていて、間違えた「エ」に至っては講義で木村先生が図を書いて説明してくださったところだった。ああ、これじゃ、宝の持ち腐れだ。がっつり覚えておこうと思う。上記のまとめの「援用権者」では、④、⑤、それから、⑦あたりは来年にでも出てもおかしくないかも。心しておけ、来年の私よ。

2008年6月22日日曜日

蒸し暑かった

図書館が蒸し暑く、耐えられなくなり帰ってきてしまった。こんなことで試験本番は耐えられるのか?

さしあたって、民法総則で残っていた「時効」の過去問いってみよう。(BGM:リュミエール(村治佳織)
今回で、民法総則の過去問は終了。物権もちゃっちゃかちゃっちゃか進めよう。
  • 被保佐人が保佐人の同意を得ないで債務の承認をした場合であっても、時効の中断の効力を生ずる。(61-4-1)
○ §156「時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。」との条文通り。なお、管理能力・権限は必要だが、被保佐人は管理能力を有するため、保佐人の同意を得ることなく、単独で債務の承認をすることができ、それにより時効中断の効力が生じる。
  • 夫婦の一方が他の一方に対して有する債権の消滅時効は、婚姻解消の時から進行を始める。(61-4-5)
× 夫婦の間の債権は、時効が停止しているだけで時効が中断しているわけではない。したがって、婚姻解消後6カ月以内は時効は完成しない(§156)だけであり、そのときから新たに時効が進行するわけではない。
※時効の停止のまとめ(§158~161)
①未成年者・成年被後見人の法定代理人が不在→既能力者又は法定代理人就任から6カ月間停止
②未成年者・成年被後見人が法定代理人に対して債権を持っている→既能力者又は後任者就任から6カ月間停止
③夫婦の一方が他方に債権を持っている→婚姻解消から6カ月間停止
④相続が生じた→相続人が確定し管理人選任・破産宣告開始の審判の確定から6カ月間停止
⑤天災・事変が起こった→止みたるときから2週間停止
  • 主たる債務について消滅時効が完成した場合には、主たる債務者が時効の援用をしないときでも、その連帯保証人は、主たる債務につき時効を援用することができる。(元-2-1)
○ 時効の援用権者は「時効によって直接利益を受ける者及びその承継人」に拡張されている。連帯保証人もこれに含まれる(大判昭7.6.21)。
  • 主たる債務者がなした時効利益の放棄は、保証人に対しても効力を生ずるので、保証人は、時効を援用することができない。(5-3-ア)
× 時効利益の放棄は、時効の援用と同様に相対的に効力を生じ、主債務者が放棄しても保証人には効力は生じない。したがって、「時効によって直接利益を受ける者及びその承継人」にあたる保証人は時効を援用することができる。
  • 期限の定めのない貸金債権の消滅時効は、金銭消費貸借契約が成立したときから進行する。(16-7-ア)
× 期限の定めのない金銭消費貸借契約による貸金債権は、相当な期間を定めて催告した場合はこの期間の満了時から、催告がない場合は金銭消費貸借契約が成立してから相当の期間を経過し時から消滅時効が進行する。
※「期限の定めのない」まで読んだところで、「消滅時効の起算点は債権成立時から進行」と早とちりしてしまった。「消費貸借」は「相当期間」がキーワードと肝に銘ずること。

  • 債権者不覚知を原因とする弁済供託をした場合には、供託者が供託金取戻請求権を行使する法律上の障害は、供託の時から存在しないから、その消滅時効は、供託の時から進行する。(16-7-オ)
× 弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅したときから進行する(最判平13.11.27)。免責の効果を受ける必要がある間は、供託者に取戻請求権の行使を期待することができないため。
  • 確定期限のある債権の消滅時効は、当該期限が到来したときから進行するが、不確定期限のある債権の消滅時効は、当該期限が到来したことを債権者が知ったときから進行する。(18-7-ア)
× 確定期限の「ある」債権も、「不」確定期限のある債権も、消滅時効の起算点は期限到来時である。せっかく覚えても、とっさに「履行遅滞の起算点」とごっちゃになっていては世話はない。
  • 地上権及び永小作権は、時効によって取得することができるが、地役権は、時効によって取得することができない。(18-7-イ)
× いずれも時効取得できる。なお、「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる(§283)」。
  • 所有権に基づく妨害排除請求権は、時効によって消滅しないが、占有保持の訴えは、妨害が消滅したときから1年を経過した場合には提起することができない。(18-7-ウ)
○ 所有権は消滅時効にかからない。また、「占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。」(§201Ⅰ)

2008年6月21日土曜日

過去問(無効及び取消し、条件及び期限)

いっきに進め。BGMはGUITAR RENAISSANCE(渡辺香津美)
  • 甲は、未成年者であるが、親権者丙の同意を得ないで乙に甲所有の高価な壺を売却した場合には、甲は、成年者となる前は、丙の同意を得たときでも、売買契約を追認することができない。(5-8-2)
× 未成年者は、意思能力を有する限り、法定代理人の同意を得て自ら完全に有効な法律行為をすることができ、同意を得て追認することもできる。被保佐人、被補助人も同様であるが、成年被後見人は成年後見人の同意を得ても追認することはできない。
  • AはBの詐欺により錯誤に陥り、Bからある動産を買い受ける旨の売買契約を締結したが、その後、Bが売買代金請求権をCに譲渡し、その旨をAに通知した。AがBの詐欺にもかかわらず売買契約を追認しようと考えた場合、その追認はCに対してではなく、Bに対してしなければならない。(12-1-イ)
○ §123は「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。」としているが、この相手方とは取り消し得べき法律行為の相手方をいう。したがって、本問では契約の相手方であるBに対してしなければならない。
  • 解除条件付法律行為がされた場合において、その条件が成就したときには、その法律行為は、その法律行為の時にさかのぼって効力を失う。(59-4-1)
× 解除条件付法律行為は、条件成就の時より効力を失うのが原則である。また、停止条件付法律行為は、条件成就の時から権利が発生する。なお、停止条件、解除条件ともに、特約があれば遡及させることもできる。
  • 贈与契約に贈与者が欲するときは、贈与した物を返還するものとする旨の条件を付したとしても、その贈与契約は有効である。(59-4-4)
○ §134「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」 つまり、「返済したいと思うときに返すよ」はダメ。本問の場合、贈与者(債務者)が欲すれば欲すれば贈与した物を返還するという解除条件であり、有効である。
  • 相殺の意思表示に、条件を付すことができる。(2-16-2)
× 相手方の法律上の地位を著しく不安定にすることになるため、相殺の意思表示に条件又は期限を付すことはできない(§506Ⅰただし書き)。このほか、解除、取り消し、買い戻し、選択債権など単独行使権ともいうべき権利に条件をつけることはできない。

過去問(無権代理及び表見代理)

テキストの勉強は物権に入った。過去問はどうだ。
民法総則はちゃっちゃと終わらせよう。(BGM=ポエジー(奥村愛)※最近、勉強時のBGMで多用しています)
  • 無権代理人の行為が表見代理とならない場合において、無権代理人がした契約解除の意思表示は、その意思表示の当時代理権のない者が意思表示をすることにつき、相手方が異議を述べた場合であっても、本人が追認をすれば、効力を生ずる。(57-5-エ)
× 契約解除の意思表示は相手方のある単独行為である。相手方のある単独行為の無権代理は原則、不確定無効であるが、本人が追認すれば有効となる。本問では相手方が異議を述べており、有効となる余地はない。
  • 甲は、乙に対し自己所有のカメラの質入れに関する代理権を授与したところ、乙は、丙に対しこのカメラを甲の代理人として売却した。甲は、丙の催告に基づき乙の無権代理行為を追認したときは、乙に対し、その受け取った売却代金の引き渡しを請求することができるが、これとは別に損害賠償の請求をすることはできない。(62-2-3)
× 本人が無権代理行為を追認したときに、乙に対して売却代金の引き渡しを請求することができるのは当然である。これに加え、無権代理人の行為が不法行為の要件も満たせば、本人は無権代理人に対して損害賠償の請求をすることもできる。
  • 甲からコピー機賃借に関する代理権を与えられた乙が、丙との間でコピー機を買い受ける契約をした。乙が未成年者である場合、丙は乙が代理権なきことを知っているか知っていないかにかかわらず、乙に対して履行の請求又は損害賠償を請求することはできない。(3-1-5)
○ 相手方が無権代理について善意・無過失であれば無権代理人に履行又は損害賠償の請求ができるのが原則だが、無権代理人が制限行為能力者である場合には、制限能力者の保護のため、請求権を行使することができない。
  • 代理人が、自己又は第三者の利益を図るため、代理権の範囲内の行為をした場合には、相手方が代理人のそのような意図を知らず、かつ知らなかったことにつき重大な過失がなかったときに限り、本人はその代理人の行為につき、責任を負う。(6-4-ア)
× 93条ただし書きの類推適用であり、相手方の「重過失」でなく「過失」を要件としている。
代理人が自己の利益を図るために権限内の行為をした場合の法律行為は原則有効。ただし、代理人の権限濫用につき相手方が悪意又は有過失のときは、93条ただし書きを類推適用し、本人は無効を主張できる(最判昭42.4.20)
  • Aは何らの権限もないのに、Bの代理人と称して、Cとの間にB所有の不動産を売り渡す契約を締結した。この場合において、AC間の売買が錯誤によって無効であるときは、Bは、Aの無権代理行為を追認することができない。(7-4-イ)
× 無権代理による契約が錯誤であっても、本人は追認することができる。無権代理の本人による追認は、無権代理人に代理権があったのと同ようの効果を生じさせるものに過ぎず、代理して行った行為自体の瑕疵までも治癒するものではないため。
  • Aは何らの権限もないのに、Bの代理人と称して、Cとの間にB所有の不動産を売り渡す契約を締結した。BがAに対して追認する意思表示をした場合において、Cがこれを知らなかったときは、CはAに対して、無権代理行為を取り消すことができる。(7-4-ウ)
○ §113Ⅱ(追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。)の通り。BのAに対する追認はCに対抗することができず、CはAに対して無権代理行為を取り消すことができる。
  • Aは代理権がないにもかかわらず、Bのためにすることを示して、Cとの間でB所有の甲土地を売却する旨の契約を締結した。Cは、Aに対し、無権代理人の責任に基づく損害賠償を請求した。この場合、Cは、甲土地を転売することによって得られるはずであった利益に相当する額を請求することができる。(14-2-オ)
○ 相手方が無権代理人に対して損害賠償請求権を行使する場合において、その請求は履行利益の賠償を意味する。(履行利益とは、契約が完全に履行されていたならば得られたであろう利益のこと。ex.転売利益)

代理一般の過去問

「代理一般」の過去問いってみよう。93条ただし書きの類推適用はわかったようであやふや。復代理はおおむね理解しているが、ちょっと聞き方を変えた引っかけ問題にはやられそうだ。注意。
この部分は、6月13日までにやった部分。ちょうどよい復習になったかな。
  • 甲は、乙に家屋を購入する代理権を与え、乙は、丙との間で、甲のためにすることを示して特定の家屋の購入契約を締結したが、実はその家屋は丁所有のものであった。丙が自己の責めに帰すべき事由により、その契約を履行することができない場合でも、乙が契約の当時その家屋が丙の所有でないことを知っていたときには、甲は、丙に対して損害賠償を請求することができない。(57-3-1)
× 権利の全部が他人に属する他人物売買では、善意の買主は「解除」と「損害賠償請求」、悪意の買主は「解除」できる。ただし、相手方に帰責自由がある場合は、本人や代理人の悪意又は有過失を問わず、債務不履行責任を問うことができる(§415)。本問では相手方丙の責めに帰すべき事由によって丙の債務が履行不能となっているので、債務不履行責任の追及として損害賠償を請求できる。
  • 甲は、乙に家屋を購入する代理権を与え、乙は、丙との間で、甲のためにすることを示して特定の家屋の購入契約を締結したが、実はその家屋は丁所有のものであった。丙が自己の責めに帰すことができない事由によりその契約を履行することができない場合でも、甲及び乙共に契約の当時その家屋が丙の所有でないことを知らなかったときには、甲は、丙に対して損害賠償を請求することができる。(57-3-4)
○ 丙に帰責事由がないので債務不履行責任は問題とならない。権利の全部が他人に属する他人物売買においては、善意の買主は「解除」と「損害賠償請求」、悪意の買主は「解除」できる。本問では、甲及び乙が善意であり、契約の解除も損害賠償請求もできる。
  • 委任による代理人が復代理人を選任する場合において、代理人は、本人の許諾を得て復代理人を選任した場合でも、その選任及び監督について本人に対して責任を負う。(4-2-エ)
○ 条文通り。(§104、105Ⅰ)
復代理における任意・法定代理人の責任
・任意代理→①通常(§105Ⅰ)※本人の許諾またはやむを得ない事由を要する=選任、監督の責任
        ②本人の指名に従った場合(§105Ⅱ)=不適任・不誠実を知って本人に通知しない場合又は解任することを怠った場合の責任・解任懈怠責任
・法定代理→①通常(§106)=全責任。
        ②やむを得ない事由があった場合(§106ただし書)=選任、監督の責任
  • Aの代理人Bの代理行為が相手方Cとの通謀虚偽表示に基づくものであった場合において、Aがそのことを知らなかったときは、Cは、Aに対しその行為について無効を主張することができない。(9-2-オ)
× 代理人と相手方との間の通謀虚偽表示が本人を欺くことを目的とするものである場合には、§93ただし書き(心裡留保)を類推適用し、本人が相手方の真意を知り(悪意)、又は知ることができた(有過失)のでなければ、つまり本人が善意無過失であれば、当該行為は有効となる(大判昭14.12.6)。本問におきかえると、本人Aが相手方の「心裡留保」に善意であり当該行為は有効であるため、相手方Cが本人Aに対して代理行為の無効を主張することはできないはずである。しかし、本問では代理人Bと相手方Cとの間の通謀虚偽表示が本人を欺くことを目的とするものであるとは明示されていないためこの判例を適用できず、原則に立ち返り、通謀虚偽表示は無効であり、その代理人の行為の効果は本人に帰属するため、CはAに無効主張できないとはいいきれない。
→微妙な肢だが、この問題では他の肢との消去法で回答できた。これ以上は深入りしない方針でいった方がよさそうだ。
  • Aは、Bの代理人として、Cとの間で金銭消費貸借契約及びB所有の甲土地に抵当権を設定する旨の契約を締結した。Aが借入金を着服する意図でCとの間で本契約を締結し、Cから受領した借入金を費消したが、CもAの意図を知っていた場合、設定した抵当権は無効である。(12-3-3)
○ 代理人が自己の利益を図るために権限内の行為をした場合の法律行為は原則有効。ただし、代理人の権限濫用につき相手方が悪意又は有過失のときは、93条ただし書きを類推適用し、本人は無効を主張できる(最判昭42.4.20)
  • Aは、Bを利用して、Cと売買契約を締結し、甲動産を取得しようとしている。BがAの代理人である場合、甲動産の購入に際し、Bには意思能力がある必要はないが、Aには行為能力がある必要がある。(16-5-ウ)
× 代理人は自ら代理行為を行うので、Bには行為能力がなくてもよいが意思能力は必要である。本人Aについては、代理人が法律行為を行うため、意思能力・行為能力ともに不要である。
  • Aは、Bを利用して、Cと売買契約を締結し、甲動産を取得しようとしている。BがAの使者である場合、甲動産の購入に際し、Bには意思能力がある必要はないが、Aには行為能力がある必要がある。(16-5-ウ)
× 使者は本人の意思を伝達する期間に過ぎないため、Bは行為能力・意思能力ともに不要。したがって、本人Aには、意思能力・行為能力ともに必要である。
  • Bの妻Aは、Bの実印を無断で使用して、Aを代理人とする旨のB名義の委任状を作成した上で、Bの代理人としてB所有の土地をCに売却した。この場合、Aに売却の権限がなかったことにつきCが善意無過失であったときは、Cは、当該土地の所有権を取得することができる。(18-4-エ)
× 代理権限踰越の表見代理(§110)を有効とするためには、①基本代理権が存在すること②代理人がその権限外の代理行為をしたこと③相手方が善意・無過失であること--を要する。本問では基本代理権の有無が問題となるが、「夫婦の一方が日常家事の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合、第三者においてその行為が日常家事に関する法律行為であると信ずるにつき正当な理由があるときに限り保護する(最判昭44.12.18)」。土地の売却は日常家事に関する法律行為の範囲内に属するとはいえず、また、そう信じるにつき正当な理由があったとは問題文から読み取れないため、相手方Cは土地所有権を取得できない。
  • 代理人が復代理人を選任する行為は、代理人の代理行為の一環として行われるものですから、代理人は、復代理人を選任する際、本人のためにすることを示して行う必要がある。(19-5-ア)
× 復代理人は代理人の名において選任される。復代理とは、代理人が自分の権限内の行為を行わせるために自己の名でさらに代理人を選任し、本人を代理させることであるため。
  • 代理人Bは復代理人Cを解任することができるが、復代理人Cが本人Aの許諾を得て選任されたものである場合には、本人Aの同意がなければ、代理人Bは、復代理人Cを解任することができない。(19-5-エ)
× 復代理人は代理人によって選任され、代理人には、任意代理では選任・監督責任、法定代理では全責任が課せられる。したがって、たとえ復代理人が本人の許諾を得て選任されたものであっても、本人の同意の有無を問わず、代理人は、復代理人を解任することができる。

2008年6月13日金曜日

過去問の復習(意思表示及び法律行為の続き)

じゃんじゃん行こう。
……と言いつつ、ここに記録することでおさらいできるものの、タイムロスも多い気がする。今後はどうしよう。
  • AがBの詐欺により、Bとの間で、A所有の甲土地を売り渡す契約を締結した。Aが詐欺の事実に気づいた後に、BがAに対し、相当の期間を定めて売買契約を追認するかどうかを確答するよう催告した場合、Aがその期間内に確答しなければ、Aは、売買契約の意思表示を取り消した者とみなされる。(10-4-ア)
× 詐欺による意思表示の相手方に催告権を与えるような規定はない。自ら詐欺を行い又は第三者の詐欺の事実を知って法律行為に入った者に、特に保護を与える必要はないから。(なお、このような催告ができるのは、制限行為能力者による意思表示の相手方である。)
  • AがBの詐欺により、Bとの間で、A所有の甲土地を売り渡す契約を締結した。Aは、詐欺の事実に気づいて売買契約の意思表示を取り消した場合において、Bへの所有権移転登記を経由していたときは、Bに対し、受領済みの代金及びこれに対する受領時以後の法定利率による利息を返還しなければならない。(10-4-オ)
× 取消権の行使により売買は訴求的に無効となるため、Aは不当利得として代金を返還する必要がある。本問ではAが代金を受領した時点で詐欺の事実につき善意であったと思われるので、現存利益を返還すればよい(§703)。
※不当利得返還義務のまとめ
・善意の受益者=現に利益の存する限度(現存利益、§703)
・悪意の受益者=その受けた利益に利息を付して返還。なお損害があるときは、その賠償の責任を負う(§704)
  • Bは、C社の従業員から甲薬品はガンの予防に抜群の効果があるとの虚偽の説明を受け、これを信じてAに同様の説明をし、Aもこれを信じて甲薬品を購入した場合、Aは、Bとの間の売買契約を取り消すことができる。(13-1-イ)
× 詐欺により取り消すためには、①相手方を欺いて錯誤に陥れようという意思②その錯誤によって意思表示させようとする意思の「二段の故意」を要する(大判大6.9.6)。本問ではBにAを欺いて錯誤に陥れようという意思がなく、BがAに対し詐欺を行ったとはいえない。
  • Aは、Bに対して貸金債権を有していたところ、AとCが通謀して、当該貸金債権をCに譲渡したかのように仮装した。異議をとどめないでその債権譲渡を承諾したBは、債権譲渡が無効であるとして、Cからの貸金債権の支払い請求を拒むことはできない。(15-5-ゥ)
× 債務者が異議をとどめないで承諾したとしても、その債権譲渡自体が無効である。また、債務者は仮装譲渡について§94Ⅱの第三者ではない。従って、Bは債権譲渡の無効を主張して支払い請求を拒むことができる。
  • 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した後は、その相続放棄をした者は、その相続放棄について、錯誤による無効を主張することはできない。(17-4-オ)
× 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した場合であっても、その相続放棄をした者は、その相続放棄について錯誤無効を主張できる。(§919Ⅱ、最判昭29.12.24)

2008年6月12日木曜日

過去問の復習(意思表示及び法律行為)

過去問復習、シスの復讐。
  • 土地が甲から乙へ、乙から丙へと順次売買された。丙に売り渡された後に甲乙間の売買契約が乙の債務不履行を理由として解除された場合には、丙は、所有権移転の登記を受けていない以上、甲に対してその土地の所有権を主張することができない。(57-19-2)
○ 契約の解除は、解除前の第三者の善意・悪意を問わず対抗できない(§545Ⅰただし書き)。ただし、第三者の権利保護要件として不動産は登記動産は引き渡しを必要とする(最判昭33.6.14)。
  • 土地が甲から乙へ、乙から丙へと順次売買された。甲乙間の売買契約が錯誤により無効である場合には、丙が所有権移転の登記を受けているときであっても、甲は、丙に対してその土地の所有権を主張することができる。(57-19-3)
○ 錯誤無効には、相手方、第三者を保護する規定はない。
※意思表示の瑕疵・欠缺がある場合の第三者保護規定のまとめ
・意思無能力→第三者保護規定なし。
・心裡留保(§93)→善意(有過失含む)の第三者に対抗できない。(§94Ⅱ類推適用)
・通謀虚偽表示(§94)→善意(有過失含む)の第三者に対抗できない。(§94Ⅱ)
・錯誤(§95)→第三者保護規定なし。
・解除(§545)→第三者(悪意、有過失含む)に対抗できない。ただし、第三者の権利保護要件として不動産は登記、動産は引き渡しを必要とする(最判昭33.6.14)
※取り消すことができる場合の(取消前の)第三者保護規定のまとめ
・制限行為能力者→第三者保護規定なし。
・詐欺(§96)→善意(有過失含む)の第三者に対抗できない。(§96Ⅲ)
・強迫(§96)→第三者保護規定なし。
  • 甲がその所有に係る土地を乙に騙されて売り渡し、その後契約を取り消す旨の手紙を出したが、その到達前に甲が死亡した場合、取消の効果は生じない。(3-8-エ)
× 意思表示の発信後、表意者が死亡、又は、制限行為能力者となっても、意思表示は有効。(ただし、相手方がそのことに悪意ならば無効:§525。)詐欺を理由に取り消す場合の意思表示でもこの原則を適用し、甲が死亡しても、その意思表示が到達した以上は取消の効果は生ずる。甲の死亡を乙が知っていた場合は、取り消しの効果は生じない。
  • 錯誤の場合には、誰でも無効を主張することができるが、詐欺の場合には、取消権を行使することができる者は限定されている。(6-5-イ)
× 錯誤無効の主張権者……原則、本人に限定。例外的に、債権者に債権保全の必要性があり、かつ、表意者本人が錯誤を認めている場合には第三者に錯誤無効の主張を認める(最判昭45.3.26)。→誰でも主張できるわけではない。
詐欺の場合の取消権者……①瑕疵ある意思表示をした者、②①の法定代理人、任意代理人、③①の包括承継人、特定承継人。(§120Ⅱ)

2008年6月8日日曜日

過去問の整理(自然人)

過去問の「△」または「×」だった肢を整理しよう。
民法総則の過去問はもう何回もやっているはずなのに、まだきっちりわかっていない肢があるのは困ったものだ。
  • 未成年者に法定代理人がいない間は、これに対して消滅時効が完成することはない。(57-2-3)
○ 制限行為能力者の保護のため、時効は停止する。
「時効の期間の満了前6ヶ月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がいないときは、その未成年者もしくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6ヶ月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない(§158Ⅰ)」
→つまり、未成年者に法定代理人がついたとしても、それから6ヶ月が経つまでは消滅時効は完成しない

  • 被保佐人が相続を承認し、又はこれを放棄するには、保佐人の同意を得ることを要する。(60-1-4)
○ 重要な財産行為として§13Ⅰに列挙された行為は保佐人の同意が必要である。
①元本の領収・利用
②借財・保証
③不動産その他重要な財産の得喪
④訴訟行為
⑤贈与・和解・仲裁合意
相続承認・放棄・遺産分割
⑦贈与申込の拒絶・遺贈の放棄・負担付き贈与の承認
⑧新築・改築・増築・大修繕
⑨短期を超える賃貸借

  • 未成年者がした法律行為の取消しは、未成年者が単独ですることができる。(63-1-5)
○ 制限能力者による行為の取消権者は、§120で限定列挙されている。
制限行為能力者(本人)、(法定・任意)代理人、(包括・特定)承継人、同意をすることができる者(保佐人、補助人)
※あくまで限定列挙。「保証人」は取消権者でない

  • 未成年者Aがした売買行為について、Aが成年となった後は、未成年であったことを理由に取り消すことができない。(6-7-エ)
× 制限能力者による行為の取消は§126に短期消滅時効の規定がある。
「追認できる時から5年間、又は、行為(契約等)のときから20年間で消滅する」
→20歳で成人したときが「追認できる時」であり、そこから5年の25歳までは取り消すことができる。

  • 成年被後見人が成年後見人と利益の相反する行為をしたときは、成年後見人は、その行為を取り消すことができる。(9-1-2改)
× 成年被後見人の行為は、日常生活に関する行為を除いて取り消すことができる(§9)が、その行為が成年後見人との利益相反行為となる場合には、成年後見人に代理権が認められない。
→成年後見人はその利益相反行為を取り消すことができない。

  • 家庭裁判所は、保佐開始の審判において、保佐人の同意を得ることを要する法定の行為に関し、その一部について保佐人の同意を得ることを要しない旨を定めることができる。(15-4-ウ)
× 保佐人の同意を得ることは§13Ⅰで限定列挙しており、その一部について保佐人の同意を要しない旨を定めることはできない。いずれも重要な財産上の法律行為に関わるものであり、被保佐人の保護のためにもこのような旨を定めることは許されない。

  • 成年被後見人が契約を締結するに当たって、成年後見に関する登記記録がない旨を証する登記事項証明書を偽造して相手方に交付していた場合には、相手方がその偽造を知りつつ契約を締結したとしても、その成年後見人は、当該契約を取り消すことができない。(19-6-オ)
× 制限行為能力者が行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない(§21)。しかし、相手方が能力者だとと誤信したのでなければ、詐術に当たらず、制限行為能力者の取消権は否定されない。